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Nature Reviews Cancer

2005年4月1日

混合白血病(MLL)遺伝子は、11番染色体長腕が関わる転座の結果として、30種ある遺伝子パートナーのひとつに融合するが、この変異のみによって、急性骨髄性白血病(AML)が引き起こされるかどうかは不明である。Onoらは現在、MLL融合タンパク質がメディエートする白血病発生が、多段階のプロセスであることを示唆している。

MLLは核タンパク質であり、これを転写調節因子として関わらせ、クロマチンを修飾する超複合体に関与する領域を有する。多様ではあるが、MLL融合タンパク質はいずれも発癌性で、類似した機序(ホメオボックス遺伝子の異所性活性化)を通じて明らかに白血病を助長している。MLLの融合パートナーは、MLLホモ二量体化とは無関係にMLL標的遺伝子を活性化する転写活性化因子(ENLなど)か、またはオリゴマー化領域を有し、MLLの調節されていない二量体化および構成的活性化を引き起こすタンパク質(SEPT6など)のいずれかである。しかし、動物にMLL融合タンパク質が発現しても、ヒトにみられるほど迅速にAMLが引き起こされることはない。そこでOnoらは、二次的な遺伝的事象が関与しているのではないかとの考えを検証した。

Onoらが注目したのは、MLL?SEPT6であった。SEPT6は、細胞質分裂に必要な細胞質タンパク質であるセプチンのひとつである。レトロウイルスベクターで発現させたMLL?SEPT6をin vitro でマウス造血前駆細胞に発現させると、細胞分化の遮断によって不死化し、自己複製が増大した。この細胞をマウスモデルに移植すると、長い潜伏期間ののち、致死性の骨髄増殖性疾患となったが、AMLは生じなかった。

上記動物から単離したMLL?SEPT6発現細胞が生き延びるには、インターロイキン3 (IL-3)が必要である。Onoらは、IL-3非依存性が白血病の進行を引き起こすのであれば、IL-3非依存性が協調病変であるのではないかと考えた。そこで、MLL?SEPT6発現細胞に、やはりAMLに関与することがわかっており、通常はIL-3によって供給されるチロシンキナーゼ生存シグナルの代わりになると考えられるFMS様受容体チロシンキナーゼ3 (FLT3)の変異型を発現するレトロウイルスを共移入した。この遺伝子の共発現により、in vitroでIL-3非依存性の増殖が起き、in vivoでは短い潜伏期間ののちAMLが発生した。

Onoらは、変異型FLT3もMLL?ENLと協力したとすれば、MLL融合タンパク質が造血前駆細胞の分化を減退させて自己複製能力を増強し、FLT3の活性化が増殖/生存能をもたらすのではないかと推測している。

doi:10.1038/nrc1603

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