Highlight

TIMを使う共刺激

Nature Reviews Immunology

2005年5月1日

Nature Immunologyの5月号に掲載された2つの論文は新たに同定されたTIM(T-cell immunoglobulin domain and mucin domain)ファミリーのタンパク質の機能と特異性を考察し、このタンパク質のT細胞応答調節における役割にスポットライトをあてている。

TIM遺伝子ファミリーに属するタンパク質の数はマウスで8つ、ヒトでは3つだが、これら全てがIgVドメインを1個、ムチン様ドメインを1個および細胞外部にある尾部を持つ膜貫通タンパク質であると予測されている。UmetsuらはTIM1の機能に研究の焦点を絞り、 一方MeyersらはTIM4の免疫系における役割の解明を試みた。

Umetsuらは、マウスのTIM1に特異的なモノクローナル抗体を使い、まずTIM1は活性化されたT細胞と、ヘルパーT2(TH2)細胞に偏向した条件下で培養したT細胞で発現され、休止状態のT細胞やTH1細胞には存在しないか、存在しても少量であることを明らかにした。一方、Meyersらは、TIM4はT細胞では発現されないが、抗原提示細胞で発現され、リンパ球系の成熟樹状細胞でもっとも多く発現されていることを明らかにした。MeyersらはTIM4のリガンドを見つけだすために、TIM4-免疫グロブリン融合タンパク質を作った。この融合タンパク質は活性化したBあるいはT細胞に特異的に結合するが、休止期のBあるいはT細胞には結合しなかったため、MeyersらはTIM4のリガンドはTIM1ではないかと考えた。このことを確かめるための実験でMeyersらは、TIM4融合タンパク質はTIM1発現細胞に結合し、また逆にTIM1融合タンパク質はTIM4発現細胞に結合するが、TIMのトランスフェクションを受けていない細胞、あるいはTIMファミリーの他のメンバーを発現している細胞には結合しないことを明らかにした。さらに、TIM4 融合タンパク質は活性化したT細胞のうち、TH1細胞よりもTH2細胞の方に多く結合することが明らかになったが、これはUmetsuらの報告しているTIM1の発現パターンと一致している。

これら2つの研究グループは次に、それぞれTIM1特異的抗体あるいはTIM4融合タンパク質をTIM1に連結させ、その影響を調べた。in vitroでは、TIM1特異的抗体は、CD3およびCD28特異的な抗体によって刺激されたCD4+T細胞の増殖を促進した。TIM1特異的抗体はまた、TH2によるサイトカイン産生を増大させたが、TH1細胞(TIM1を発現していない)ではなんの影響も見られなかった。TIM1特異的抗体を与えてからコグネイト抗原でプライミング処理したT細胞受容体トランスジェニックマウス由来のT細胞では、in vitroでの増殖速度と抗原曝露時の増殖速度の両方が上昇した。このような細胞では、インターフェロンγ、インターロイキン4(IL-4)とIL-10の産生量も増大した。Meyersらも同様に、in vivoでのTIM4融合タンパク質の投与が、抗原による再刺激をした場合にもしない場合にも、プライミングを受けたT細胞の増殖速度を上昇させることを明らかにした。さらに、in vivoでTIM1融合タンパク質を投与してTIM4に結合させると、in vitroでのT細胞増殖速度が上昇した。また、ここで使われたマウスモデルのような、通常TH1サイトカインの方が産生されると考えられる場合でも、TIM1融合タンパク質を投与するとTH2サイトカインの産生が促進された。

最後にUmetsuらは、TIM1特異的抗体による処理は、吸入アレルゲンにたいする寛容を崩壊させ、抗原チャレンジ後の気道の過敏応答の進行を促進する可能性があることを明らかにした。これはTim1が喘息罹病性遺伝子であるとされていることと一致する。

doi:10.1038/fake620

「レビューハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度