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頻度の高い遺伝子多型のマップを作る

Nature Reviews Genetics

2005年12月1日

ヒトゲノムのハプロタイプ地図(親しみをこめて「ハップマップ」と呼ばれる)には、プロジェクト自体が始動した2002年以来、ずっと注目が集まっている。プロジェクトのデータはインターネット上で随時公表されているが、同プロジェクトのPhase Iにおける成果を報告する論文は、この10月に発表されたところだ。この論文では、その主たる目標である遺伝的関連研究の計画や結果の解析が、ハップマップによって方向付けられるプロセスが示されているが、そのほかにもハップマップには、構造的多型や組換えに関する重要な情報が示されており、最終的にはヒトゲノムが自然選択によって形づくられる過程が明らかにされているのだ。

このプロジェクトの目的は、頻度の高いヒト遺伝子多型を網羅したゲノムワイドの公共データベースを構築することだった。Phase Iでは、プロジェクトで用いられた269点のDNAサンプルのそれぞれについて、ゲノム全体で5キロベース当たり1つの割合で、頻度の高いSNP(マイナータイプの対立遺伝子頻度が0.05以上)のタイピングが行われた。これらのサンプルは、ヨルバ族(ナイジェリア)、日本人(東京)、漢民族系中国人(北京)とヒト多型研究センターのコレクション(米国ユタ州)に由来している。

この論文の著者たちは、ハップマップデータを使って、ヒトゲノムがブロック構造であることを確認した。遺伝子組換えが主に組換えホットスポットと呼ばれる短い領域で起こっていることが、その根拠となっている。また、著者たちは、ヒトゲノムの詳細な遺伝地図を作成したが、その解析結果からは、意外な観察結果が導き出されている。例えば免疫応答や神経生理学的機能をコードする遺伝子が数多く含まれる領域では、組換えの頻度が高いのに対して、DNA代謝やRNA代謝のような「細胞の核心的機能」に関連する遺伝子が多い領域は組換えの頻度が低い。どうやらハップマップデータには自然選択に関する情報が含まれているようなのだ。

Phase Iのデータには、100万種を超えるSNPが含まれている。そのほとんどは、稀なSNPで、それ自体がdbSNPデータベースに登録されているか、あるいは登録されているSNPと深く結びついている。そしてハップマップデータには、ゲノムワイドな関連解析を行う上で十分なタグSNPを得られるほど大量の高頻度多型が含まれていることを著者たちは示している。ただし、祖先の集団について調べるためには、より多くのSNPが必要となるかもしれない。また異なる集団間で、同じタグSNPをどの程度共通に使えるのかという点も今のところ明らかになっていない。研究者がタグSNPを選ぶことのできないアレイベースの関連解析については、ハップマップデータを使うことにより、威力を最大限引き出すことができ、ゲノムワイドな関連解析について統計的有意性を評価し、解析結果の解釈を行うことが可能となる。

著者が記しているように、ヒトゲノムプロジェクトが自然に発展したのがハップマッププロジェクトで、個人差に焦点を合わせている。このプロジェクトにより、これまでになかった情報源が作り出され、これによってゲノムワイドな総合的関連解析が促進され、最終的には複雑な疾患の遺伝的決定因子を特定できるようになるだろう。それに影響を与える環境因子を解明するのが研究の次のステップとなる。

doi:10.1038/fake499

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