優れた転写物解析プログラムの比較
Nature Methods
2013年11月5日
細胞の全RNAの配列解読データを解析するさまざまな電算ツールを比較した2つの関連研究が、今週オンライン版に掲載される。1体の生物のDNAは全ての細胞で共通であるが、ゲノムから転写されてRNAを生ずる配列は細胞の種類ごとに異なる。細胞のさまざまな機能は主としてこの多様性が生み出しており、これを理解することは重要である。
1細胞の全RNA、すなわちトランスクリプトームのRNA-seqという方法による高処理能の配列解読は、多くの遺伝子の役割の解明に寄与してきたが、75塩基対という短い読み取り配列から全長が数千塩基にも及ぶことが多い転写物のすべてを再構築することは、高度な電算ツールを必要とする困難な作業である。
Paul Bertoneたちを中心とする共同研究チームは、RNA-seqの解析作業で重要な2つの工程を実行する能力に関して、20種類を超える最先端の電算的トランスクリプトーム解析法を比較している。一方の論文では、どのツールが標準ゲノムへの配列のマッピングを最も的確に行うかを調べ、もう一方の論文では、マッピングされた配列から転写物を再構築するツールを検討している。いずれの論文も現在の電算ツールの強みを明らかにしているが、弱点および改善を要する部分も浮かび上がっている。例えば、転写物再構築ツールの多くは転写物の部分的配列の再組み立てを的確に行ったが、全RNAを正確に再現することができるものはなかった。研究チームは、将来のツールのベンチマーク比較に有用と考えられる評価法を示している。
doi:10.1038/nmeth.2714
doi:10.1038/nmeth.2722
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