気候:中程度の温暖化でも極端な地球規模の気候変動が起こるかもしれない
Nature
2026年3月26日
中程度とされる2℃の温暖化下においても、より高い温暖化レベルで予測されるような極端な気候災害が発生するかもしれないことを報告する論文が、Nature にオープンアクセスで掲載される。この研究は、深刻な干ばつ、山火事の原因となる気象条件、および激しい降雨が、食料生産、森林、および人口密集都市部を脅かす可能性があり、その影響は通常3℃や4℃の温暖化に関連づけられる平均的な予測値さえ上回るかもしれないことを示している。この知見は、たとえ中程度の温暖化レベルであっても、政府や機関が想定し得る最悪のシナリオに備える必要性を明らかにしている。
気候評価では、将来最も起こりうる気候を伝えるために、全球平均や複数モデルの平均値に依存することが多い。しかし、こうした平均値では、都市、森林、および農業地域といった特定のシステムに気候変動がどのように影響するかをとらえきれず、個々の気候モデル間の大きな差異を覆い隠してしまう可能性がある。この変動性により、予測よりも低い温暖化レベルでも、極端な降雨、広範囲にわたる干ばつ、あるいは危険な火災発生条件が生じる可能性が見えにくくなっている。温暖化が1.5℃に近づくにつれ、効果的なリスク管理と気候緩和策の計画立案には、こうした現実味のある最悪のシナリオを理解することが不可欠である。
これらのリスクをより明確に把握するため、Emanuele Bevacquaら(ヘルムホルツ環境研究センター〔ドイツ〕)は、気候変動の影響を最も受けやすい現実世界のシステムにおける気候災害に焦点を当てた。著者らは、特定の気候に敏感な地域、すなわち、人口密集地域での豪雨、世界の穀倉地帯における干ばつ、および森林における火災気象条件について、モデルシミュレーション全体を検証した。著者らは、2℃の温暖化シナリオにおける個々の気候モデルが示す結果は、3℃あるいは4℃のシナリオにおける複数モデル平均の予測よりも極端であることを明らかにした。分野別の分析によると、人口密集地域における豪雨は4~15%増加すると予測され、最悪の場合を想定した2℃温暖化モデルでは、3℃の平均結果を上回る。さらに、42の気候モデルのうち、10モデルでは、主要な穀物生産地域における干ばつ状況が4℃の平均予測を上回り、干ばつの頻度は50%以上増加する可能性がある。
これらの知見は、複数モデルの平均値のみに依存すると、世界的に重要なシステム全体における気候影響の深刻度や発生時期を過小評価する恐れがあることを示唆している。政策立案者が緩和策を精緻化し、組織が将来の気候リスクに備えるにあたり、こうした現実的な最悪のシナリオを理解し、それに対するストレステストを行うことが不可欠となる。
シュプリンガーネイチャーは、国連の持続可能な開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)、および当社のジャーナルや書籍で出版された関連情報やエビデンスの認知度を高めることに尽力しています。本プレスリリースで紹介する研究は、SDG 13(気候変動に具体的な対策を)に関連しています。詳細は、「SDGs and Springer Nature press releases)」をご覧ください。
- Article
- Open access
- Published: 25 March 2026
Bevacqua, E., Fischer, E., Sillmann, J. et al. Moderate global warming does not rule out extreme global climate outcomes. Nature 651, 946–953 (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-10237-9
News & Views: Extreme climate outcomes could still occur with just 2 °C of global warming
https://www.nature.com/articles/d41586-026-00640-7
doi:10.1038/s41586-026-10237-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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