Research Press Release
プランクトンの代謝に対する海洋温度の影響
Nature Climate Change
2013年9月9日
海洋性植物プランクトンの代謝が海洋の温度上昇による影響を受け、特に、この温度上昇によってタンパク質合成の速度が高まることが明らかになった。この新知見は、これまで知られていなかった水温に対する直接的な応答を示しており、海洋での生物地球化学的循環にとって重要な意味があると考えられる。
今回、Thomas Mockたちは、さまざまな技術を用いて、海洋性植物プランクトンの成長戦略、代謝と化学組成に対する温度の影響を調べた。その結果、温度上昇によってタンパク質の合成が増加するが、タンパク質合成の場であるリボソームとそれに含まれるリボソームRNAの数は減ることが判明した。リン酸塩が多く含まれているリボソームが減るということは、海洋性植物プランクトンの窒素/リン酸塩比の増加につながり、この栄養素比の変化は、窒素需要を増加させ、窒素制限への移行を引き起こす。その結果、生産力が低下し、海洋の炭素循環に影響するとMockたちは考えている。
doi:10.1038/nclimate1989
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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