Research Press Release

古生物学:アルゼンチンの恐竜たちはどのようにして首を長く伸ばしたのか

Nature

2025年10月16日

アルゼンチンのアンデス山脈で発見された竜脚形類(sauropodomorph)と呼ばれる恐竜の新標本は、初期恐竜の進化に新たな知見をもたらす。約2億3,100万年前のこの恐竜は、首の骨に伸長の兆候を示しており、これが後に同地域で見つかった長頸竜脚形類の出現につながった可能性がある。この発見を報告する論文が、今週のNature に掲載される。

三畳紀後期(約2億3,700万~2億100万年前)には生態系が劇的に変化し、恐竜や哺乳類の初期の近縁種、ワニを含むグループなど動物群の出現と多様化が起きた。恐竜の初期進化の証拠の多くは南米で発見されており、主要な発見のほとんどはアルゼンチンとブラジルの2つの盆地地域に限定されている。

E. Martín Hechenleitnerら(国立科学技術研究会議〔アルゼンチン〕)は、異なる地域での初期の竜脚形類の発見を報告している。その発見地は、アルゼンチン北西部にあるラ・リオハ州のアンデス山脈(Andes of La Rioja)、標高約3,000メートルのサント・ドミンゴ渓谷(Quebrada Santo Domingo)にあるサント・ドミンゴ層(Santo Domingo Formation)である。著者らは、この発見が初期恐竜の多様性と地理的分布を拡大し、竜脚形類の進化に関する新たな知見を提供すると主張している。

すでに知られている最古の竜脚形類は、約10キログラムで首が比較的短かった。首の伸長と体重増加は、初期進化における二つの重要な特徴である。著者らがHuayracursorと命名した新種の竜脚形類は、体長1.5メートル以上、体重約18キログラムと推定される。後期の竜脚形類と比べると首は短かったが、頸椎には伸長を示す痕跡が見られた。著者らは、この発見が初期の竜脚形類における体重増加と首の伸長を示す最も古い証拠の一つだと結論づけている。

  • Article
  • Published: 15 October 2025

Hechenleitner, E.M., Martinelli, A.G., Rocher, S. et al. A long-necked early dinosaur from a newly discovered Upper Triassic basin in the Andes. Nature (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-025-09634-3
 

doi:10.1038/s41586-025-09634-3

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