Research Press Release
温暖化は南極海氷を保存する
Nature Geoscience
2013年4月1日
直感とは逆に、気候温暖化は南極海氷を拡大しているという報告が、今週号に掲載される。解析結果は、南極棚氷の下にある融解水から生じた温度の低い淡水が、沿岸の海氷をその下の海洋によって加熱されないように断熱する効果があり、この負のフィードバックは将来にわたり継続すると予想している。
Richard Bintanjaたちは南極棚氷の底部で加速した融解により生じた水が南極周辺の海洋表層に蓄積されていることを示す海洋観測を提示している。気候モデルを用いて、彼らは南半球の秋季と冬季に温度の低い表層の淡水層の発達に応答して海氷が拡大していることを示した。彼らは、南洋の海氷を保存するだけでなく、南極周辺で海洋表層の温度が低いことは大陸の降雪量を減少させることになると示唆している。
doi:10.1038/ngeo1767
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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