惑星科学:新たな観測結果により、初の系外惑星の衛星発見の可能性が高まった
Nature
2026年7月23日
褐色矮星を周回する衛星があり、その褐色矮星が恒星を周回する、初めて知られた3段階階層系である可能性を示す観測結果を報告する論文が、今週のNature に掲載される。この衛星が太陽系外惑星(exoplanet)なのか系外惑星の衛星(exomoon;エクソムーン)なのかは、エクソムーンを決定的に分類する体系が確立されていないため、依然として不明である。しかし、この天体の発見は、これまで確実な検出にいたっていなかった惑星系内のエクソムーンを明確に同定するための一歩となる可能性がある。
3段階の階層構造を持つ系、すなわち恒星、その恒星を公転する伴星(惑星や褐色矮星など)、そしてその伴星を公転する第3の天体からなる系では、この第3の天体は「太陽系外衛星(exosatellite;エクソサテライト)」と呼ぶことができる。系外惑星を周回するエクソサテライトは、エクソムーンと表現できる。しかし、褐色矮星を周回する衛星もエクソムーンと呼べるかどうかについては不確実性がある。これまでに6000個以上の系外惑星が発見されているものの、エクソムーンが明確に特定された例は一度もない。
Kevin Hoyら(ディエゴ・ポルタレス大学〔チリ〕)は、CD-35 2722 Bと呼ばれる褐色矮星伴星を周回するエクソサテライトの存在を示す証拠を提示した。著者らは、太陽型恒星の周囲で最初の系外惑星が発見された際にも用いられたのと同じ手法である「視線速度分析(radial velocity analysis)」を用いて、2023年10月から2026年2月にかけてこの褐色矮星を観測した。分析の結果、少なくとも1つの周回衛星に由来するとみられる信号が示されたが、2つの衛星を想定したモデルは非常に不安定であった。著者らがこの系の特性をモデル化した結果、木星の質量をわずかに下回る(約0.9木星質量)天体が、約170日の公転周期で褐色矮星を周回していることが示された。
この天体が3段階階層系の最後の構成要素に位置することは、月に似た分類を支持するものと見なされる可能性がある。しかし、この天体は惑星サイズの大きさであり、惑星ではなく褐色矮星を公転しているため、エクソムーンと呼ぶのはおそらく適切ではないだろうと著者らは指摘している。この研究は、視線速度分析によって将来、エクソムーンを確実に検出できる可能性を示しているが、エクソサテライトを分類する明確な体系が必要になると、著者らは結論づけている。
- Article
- Published: 22 July 2026
Hoy, K., Zurlo, A., Peña R, P.A. et al. Planetary-mass exosatellite detected around the substellar companion of a star. Nature 655, 865–869 (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-10751-w
Nature Podcast: What counts as a moon? Huge ‘exosatellite’ sparks debate
https://www.nature.com/articles/d41586-026-02299-6
doi:10.1038/s41586-026-10751-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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