天文学:天の川銀河のブラックホールの自転を感じとる恒星
Nature
2026年8月20日
天の川銀河(Milky Way)の中心にある超大質量ブラックホールの自転(スピン)の影響を受けている可能性がある恒星を報告する論文が、今週のNature にオープンアクセスで掲載される。この発見により、研究者は超大質量ブラックホールの自転をより詳細に分析できるようになると期待される。ただし、この恒星の有用性を十分に評価するには、さらなる研究が必要である。
ブラックホールには、質量、電荷、および自転という、ブラックホールごとに異なり得る3つの主要な性質がある。X線観測をつうじて自転の推定値は得られてきたものの、測定データの収集にともなう課題のため、ブラックホールの自転を直接測定することはこれまで困難だった。
GRAVITY+コラボレーションは、射手座A*(Sagittarius A*;地球に最も近い超大質量ブラックホールで、天の川銀河の中心に位置する)を周回する主系列星の発見を報告している。欧州南天天文台(ESO:European Southern Observatory)の超大型望遠鏡干渉計(VLT-I:Very Large Telescope Interferometer)による測定結果から、この恒星の運動がブラックホールの自転に影響を受けていることが示唆されている。S301と名づけられたこの恒星は、ブラックホールの周りを8.7年の周期で公転しており(射手座A*を周回する既知の軌道周期の中で最短)、最接近時にはブラックホールからわずか約17億キロメートルの距離まで接近する。S301は、ブラックホールの評価に用いられる次に近い比較対象の恒星と比べて、射手座A*までの距離が約10分の1で、その重力場に対して約100倍高い感度を持つ。これらの観測だけでは、ブラックホールの自転を直接測定することはできないものの、将来の研究でこの測定を行うための実用的な手がかりとなり得る。
- Article
- Open access
- Published: 19 August 2026
Abd El Dayem, K., Abuter, R., Aimar, N. et al. Discovery of a star sensitive to the spin of Sagittarius A*. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-10894-w
Nature Podcast: A black hole's spin could finally be measured by a high-speed star
https://www.nature.com/articles/d41586-026-02607-0
doi:10.1038/s41586-026-10894-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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