神経科学:文化を超えて共通するくすぐったい部分
Nature Human Behaviour
2026年8月11日
中国、オランダ、およびギリシャの文化的背景を持つ人々を対象とした研究によると、体のくすぐったい部位が文化を超えて共通している可能性を示す論文が、Nature Human Behaviour にオープンアクセスで掲載される。この発見は、くすぐったさが、通常の触覚や痛みといったほかの身体感覚とは区別される可能性があることを示唆している。
くすぐったさは、多くの人にとってなじみ深い感覚であるものの、科学者たちは、なぜ特定の部位がほかの部位よりもくすぐったいのか、また、この現象が文化を超えて共有されているかどうかについて、依然として完全には解明できていない。
Ziliang XiongとKonstantina Kilteni(ラドバウド大学〔オランダ〕)は、中国、オランダ、およびギリシャという3つの異なる文化的背景を持つ18歳から30歳の成人448人(女性の割合50%)を対象としたオンライン調査の回答を分析した。参加者は、くすぐりに関する経験や認識を報告し、くすぐったさを感じる体の部位を図上に示した。全体として、98.4%が少なくとも一度はくすぐられた経験があると答え、95.8%が他人をくすぐったことがあると回答した。また、71%が自分自身を「中程度から非常にくすぐりやすい」と評価した。3つの文化的グループすべてにおいて、参加者は類似した反応、特に笑いを報告し、首、脇の下、腹部、および足の裏を一貫して、くすぐったさを感じやすい部位としてあげた。
また、研究者らは、くすぐったさと最も関連づけられやすい身体部位と、快感や痛みといったほかの身体感覚に関連づけられる部位との間に、体系的な違いがあることも発見した。これは、くすぐりが、生理学的、神経的、社会心理学的に異なる特徴を持つ、特徴的な体性感覚体験である可能性を示唆している。触れられる頻度の低い身体部位ほど、くすぐったく感じられる傾向があり、これはチャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)が当初提唱した仮説を支持する結果である。しかし、これだけでは、なぜ一部の部位がほかの部位よりもくすぐりやすいのかを完全に説明することはできなかった。
著者らは、特定の身体部位がほかよりもくすぐりやすい理由を完全に説明できる単一の理論は存在しないと結論づけている。むしろ、くすぐったさは、感覚的、生理的、および心理的要因が複雑に絡み合って生じる可能性がある。この知見がほかの文化にも当てはまるかどうか、また、意図や同意といった社会的要因が、くすぐられる体験にどのように影響するかを解明するためには、さらなる研究が必要である。
- Article
- Open access
- Published: 10 August 2026
Xiong, Z., Kilteni, K. Human ticklishness is a widespread, culturally shared and bodily organized sensory experience. Nat Hum Behav (2026). https://doi.org/10.1038/s41562-026-02535-z
doi:10.1038/s41562-026-02535-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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