地球科学:ユーフラテス川は360万年前に2つの川が合流して形成された可能性が高い
Nature Geoscience
2026年6月2日
かつて部分的に干上がった東地中海に注いでいた2つの古代河川系が合流し、西アジアの現在のユーフラテス川(Euphrates River)を形成したことを報告する論文が、Nature Geoscience にオープンアクセスで掲載される。この発見は、地域の地殻変動によって2つの水路の流れが変わり、それが肥沃な三日月地帯(Fertile Crescent)の形成につながった可能性を示唆している。
トルコからペルシャ湾まで、約3000キロメートルにわたって流れるユーフラテス川の初期の歴史は、これまで不明な点が多かった。同河川がアナトリア(Anatolia)、東地中海、あるいはアラビア半島内陸部の湖に注いでいた可能性を提唱するさまざまな説が存在した。この重要な水系の進化を理解することは、その氾濫原で繁栄した人類社会のその後の発展を解明するうえで重要である。
Andrew Madofら(シェブロン〔米国〕)は、地中に埋もれた堆積物の地震探査画像、古代の堆積物分布図、および河川堆積物輸送モデルを分析した。その結果、約540万年前のメッシニアン塩分危機(Messinian Salinity Crisis)の際に部分的に干上がった地中海盆地へ、現在のトルコとシリアを横断してパレオ・カラス川(Palaeo Karasu)およびパレオ・ムラト川(Palaeo Murat)という2つの別々の川が流れ込んでいたことが示された。著者らは、その後の地殻変動によりパレオ・ムラト川が南東のペルシャ湾方向へ流路を変え、その後、これにパレオ・カラス川が合流したと提案している。これらの流路変更は、最終的に単一の河川系を形成し、約160万年前に現在のユーフラテス川へと進化し、ペルシャ湾に注いでいる。
著者らは、古代の河道の復元が困難であり、直接的な現地証拠ではなくモデルに依存しているため、依然として不確実性が残っていると指摘している。本研究で提案された歴史を検証し、精緻化するための今後の研究には、より多くの現地観測と、より精度の高い年代測定法が必要になると著者らは示唆している。
- Article
- Open access
- Published: 01 June 2026
Madof, A.S., Laugier, F.J., Baumgardner, S.E. et al. Late Miocene Euphrates River drained into a partially desiccated eastern Mediterranean. Nat. Geosci. (2026). https://doi.org/10.1038/s41561-026-01962-x
doi:10.1038/s41561-026-01962-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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