Research Press Release
脂肪蓄積に関連する遺伝的多型
Nature Genetics
2011年6月27日
体脂肪率を示す指標の1つである脂肪蓄積に関連する遺伝的多型が同定された。脂肪蓄積は、心血管疾患と2型糖尿病を含む一般的な代謝疾患のリスク因子だ。研究の詳細は、Nature Genetics(電子版)で発表される。
R Loosらは、36,626人を対象とした脂肪蓄積に関するゲノムワイド関連解析データのメタ解析を行った後、別の39,576人で追試を行い、解析結果を再現した。その結果、脂肪蓄積に関連する2つのゲノム領域が新たに同定された。そのうちの1つの領域においてIRS1遺伝子の近くに位置する遺伝的多型は、男性の低い体脂肪率、特に低い皮下脂肪率と関連していた。低い脂肪蓄積と関連するIRS1遺伝子近傍の遺伝的多型は、これまでに2型糖尿病と冠動脈疾患の高いリスクに関連することが指摘されており、この点は注目に値する。Loosらは、IRS1遺伝子が2型糖尿病に関連するメカニズムが男性の皮下脂肪の蓄積能力を通じて作用している可能性があると考えている。
doi:10.1038/ng.866
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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