Volume 423 Number 6942

今週のハイライト

目次

News & Views

γ線バースト:超新星との関係

γ-ray bursts: The supernova connection p.809

γ線バーストは、宇宙で起こる現象中で、もっともエネルギーの高いものに属するが、その起源を突き止めるのは困難だった。我々の銀河系に近いところで起こったバーストの観測によって、以前から考えられていたように、超新星がその発生源と目されることが今回明らかになった。

doi: 10.1038/423809a

ゲノム生物学:Y染色体の物語

Genome biology: Tales of the Y chromosome p.810

ヒトのY染色体の塩基配列決定は、ゲノム研究者にとって大変な難題であった。今回、この大仕事がやっと完了したが、これにより明かされた秘密は、費やされた苦労に充分相応するものだった。

doi: 10.1038/423810a

地球気候変化:紅海の水位の変遷

Global change: Ups and downs in the Red Sea p.813

紅海における過去の気象条件変化を調べることで、最終氷期中の相当長い期間における海水準の変化の詳細な記録が得られた。この記録は、南極や北極に近い場所で起こった現象と関連づけられるかもしれない。

doi: 10.1038/423813a

遺伝子調節:汎用型の組み立て工

Gene regulation: Versatile assembler p.814

染色体タンパク質の組み立てと改造を行うタンパク質は、ある1つの構成成分を共有していることがしばしばである。発生の間のゲノムの安定性維持におけるこの成分の役割が、今回明らかになった。

doi: 10.1038/423814a

音響定位:音量調節

Echolocation: Volume control p.815

音響による定位機構を使う動物では、対象に近づくにつれて自分の出す音の反響が大きくなりすぎるのを防止するシステムを備えているにちがいない。イルカは、標的に近づくに従って自分の出すソナー音の大きさを減らすという仕組みを、このために使っているらしい。

doi: 10.1038/423815a

宇宙論:インフレーション理論の彼方

Cosmology: Beyond the inflationary border p.817

観測データは、宇宙の歴史の初期に、指数関数的急膨張期があったことを強く示している。しかし、インフレーション理論は完結しているといえるのだろうか。

doi: 10.1038/423817a

細胞周期:しっかり壊すのが保全のコツ

Cell cycle: Degradation ensures integrity p.818

生細胞中では、タンパク質の分解はさまざまな生化学活性を終結させる。一回の細胞周期中にDNA複製が再度起こるのを確実に妨げるために、DNA複製に「ライセンスを与える」系の構成成分の1つが必ず分解されることが、新たな研究から明らかになった。

doi: 10.1038/423818b

材料科学:励起の輪

Materials science: Rings of excitement p.818

ポリペプチドをうまく使うと、無機的な量子ドットを微小共振器中に並べることができる。このような微小球をうまく励起すれば、レーザー動作を引き起こすことができる。

doi: 10.1038/423818a

Articles

遺伝:ヒトY染色体の男性特異的領域は異なった性質の配列のモザイクである

The male-specific region of the human Y chromosome is a mosaic of discrete sequence classes p.825

doi: 10.1038/nature01722

細胞:Hes1はレチノイン酸が誘導するNT2細胞のニューロンへの分化の際にミクロRNA-23の標的となる

Hes1 is a target of microRNA-23 during retinoic-acid-induced neuronal differentiation of NT2 cells p.838

doi: 10.1038/nature01730

Letters

宇宙:2003年3月29日のγ線バーストの初期の残光光度曲線の構造

Structure in the early afterglow light curve of the γ-ray burst of 29 March 2003 p.843

doi: 10.1038/nature01735

宇宙:近傍に出現した2003年3月29日のγ線バーストの明るい可視光の残光

The bright optical afterglow of the nearby γ-ray burst of 29 March 2003 p.844

doi: 10.1038//nature01734

宇宙:2003年3月29日のγ線バーストに付随した非常に高エネルギーの超新星

A very energetic supernova associated with the γ-ray burst of 29 March 2003 p.847

doi: 10.1038/nature01750

物性:交換バイアスによる超常磁性限界の克服

Beating the superparamagnetic limit with exchange bias p.850

doi: 10.1038/nature01687

気候:最終氷期中の海水準変動

Sea-level fluctuations during the last glacial cycle p.853

doi: 10.1038/nature01690

地球:クラトン的マントルの水和溶融により生成した始生代の極度に枯渇したコマチアイト

Archaean ultra-depleted komatiites formed by hydrous melting of cratonic mantle p.858

doi: 10.1038/nature01701

生態:イルカの音響定位機構には自動利得制御がある

Automatic gain control in the echolocation system of dolphins p.861

doi: 10.1038/nature01727

発生:クモの体節形成にはNotchおよびDelta遺伝子が関与している

Involvement of Notch and Delta genes in spider segmentation p.863

doi: 10.1038/nature01682

視覚:静止した物体に速い到達運動への視覚運動の影響

The influence of visual motion on fast reaching movements to a stationary object p.869

doi: 10.1038/nature01693

遺伝:ヒトと類人猿のY染色体にある回文配列の腕どうしの間で数多く見られる遺伝子変換

Abundant gene conversion between arms of palindromes in human and ape Y chromosomes p.873

doi: 10.1038/nature01723

発生:分枝形態形成におけるフィブロネクチンの必要性

Fibronectin requirement in branching morphogenesis p.876

doi: 10.1038/nature01712

生理:光の質による開花時期の調節

Regulation of flowering time by light quality p.881

doi: 10.1038/nature01636

生化学:CUL-4ユビキチンリガーゼはDNA複製のライセンス化を抑制することによりゲノムの安定性を維持する

CUL-4 ubiquitin ligase maintains genome stability by restraining DNA-replication licensing p.885

doi: 10.1038/nature01747

生化学:RecBCD酵素は逆の方向性を持つ高速モーターと低速モーターを備えたDNAヘリカーゼである

RecBCD enzyme is a DNA helicase with fast and slow motors of opposite polarity p.889

doi: 10.1038/nature01674

生化学:RecBCD酵素は双方向性のDNAヘリカーゼである

RecBCD enzyme is a bipolar DNA helicase p.893

doi: 10.1038/nature01673

「Journal home」に戻る

プライバシーマーク制度