Letter

生態:イルカの音響定位機構には自動利得制御がある

Nature 423, 6942 doi: 10.1038/nature01727

コウモリや工学ソナー装置では、伝播に伴う音の減衰を補うため、信号波の発射後に経過する時間とともに受信装置の利得(増幅度つまり出力と入力の比)が徐々に増大される。イルカの音響定位に関する現行の見解では、イルカのソナー機構には自動利得制御が含まれないとみなしている。我々はこの見解を検証するため、放し飼いのイルカで音響定位の野外実験を行った。本論文では、イルカは自動利得制御機構をもっているが、これが働くのは実はソナー作動サイクルのうち受信期ではなく発射期であることを報告する。我々は、イルカの音響定位信号波の振幅が距離に大きく依存することを見つけた。つまり、信号波の振幅は標的までの距離Rが増すにつれて20 log(R)の関係で増大し、伝播に伴う音の減衰を補償する。音響定位の標的が多数の音波散乱体をもつ魚群である場合、イルカが魚群に接近すると魚群からのエコーの振幅はほぼ一定のままとなる。この特性は、ソナーシステムという観点から考えるとコウモリや工学ソナー装置に見られる経時変化型の利得と同じ効果をもつ。

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