Letter 生理:発話の体性感覚基盤 2003年6月19日 Nature 423, 6942 doi: 10.1038/nature01710 発話の研究では、発話の完了は音響的に定義され、聴覚からのフィードバックによって維持されるという仮説がある。これに対し、発話は動きや付随する発声器官の配置をシグナルで制御することによってつくり上げられるとする説もある。実際には、聴覚障害のある人々でも他人に聞き取れる発話が可能なことから、動きに関連した体性感覚からの入力が発話に何らかの役割を果たしていると考えられる。だが、体性感覚の関与を明らかにしようとしたこれまでの諸研究には疑問が多い。たとえば、体性感覚からのフィードバックを機械的に混乱させた場合には、同時に発声も変化させてしまった。したがって、このような条件下で観察された順応はいずれも、発声が変化した結果起こった可能性がある。我々は今回、発話動作の達成には体性感覚情報そのものが重要であることを示す。これを明らかにするため、発話中の体性感覚からのフィードバックと聴覚からのフィードバックを分離した。時間が経つうちに、被験者は顎の動きを変化させる(ひいては体性感覚からのフィードバックを変化させる)複雑な機械的負荷の影響を補正するようになるが、この機械的負荷は計測可能な、あるいは知覚可能な効果を発声出力に及ぼさなかった。これらの知見から、発話の調音器官のポジションや関係する体性感覚の入力が、発せられた音声とは完全に分離している発話動作の達成にかかわっていることが示される。 Full Text PDF 目次へ戻る