Letter 発生:分枝形態形成におけるフィブロネクチンの必要性 2003年6月19日 Nature 423, 6942 doi: 10.1038/nature01712 唾液腺、肺、および腎臓などの多くの器官は、胚発生中に上皮の分枝により形成される。分枝形態形成においては、上皮の裂け目(クレフト)と芽状突起の形成が繰り返し起こることによって、多くの器官の特徴である複雑な三次元の枝分かれ構造がつくられる。その機序は充分に解明されてはいないものの、何らかの調節タンパク質が部位特異的に蓄積することが関与しているものもあるかもしれない。本論文では、細胞外マトリックスタンパク質フィブロネクチンは、上皮が分枝を開始する期間において、クレフトを形成するために必須であることを示す。フィブロネクチンのメッセンジャーRNAおよび原繊維は、顎下腺上皮のクレフト領域を形成する際に、巣状に一過性に出現し、また隣接領域ではカドヘリンの局在が消失していた。低分子干渉RNAおよび抗フィブロネクチンまたは抗インテグリン抗体による阻害を利用してフィブロネクチンの濃度を低下させると、クレフトの形成および分枝が阻止された。外因性のフィブロネクチンは、クレフトの形成および分枝を促進した。フィブロネクチンによる同様の抑制および促進効果は、発生中の肺や腎臓においても観察された。その機構について研究したところ、細繊維フィブロネクチンは、培養ヒト唾液腺上皮細胞上において、細胞―マトリックス接着を誘導できることが明らかとなった。その際、細胞―細胞接合部においては、カドヘリンが局所的に消失していた。したがって、フィブロネクチンの発現は、細胞―細胞接着を細胞―マトリックス接着に変換することによって起こる分枝形態形成でのクレフト形成に必要である。 Full Text PDF 目次へ戻る