注目の論文

技術:高血圧を検知できるスマートウォッチ

Nature

2026年11月6日

Technology: Smartwatches that can clock high blood pressure

Nature

センサーの測定値を解析する人工知能(AI:Artificial Intelligence)システムを活用することで、スマートウォッチが高血圧(hypertension)を検出できる可能性があることを報告する論文が、Nature に掲載される。市販のスマートウォッチを用いた試験では、このシステムが、従来の診察室での血圧スクリーニング法と同程度の感度で高血圧を検出できることが示された。

高血圧は、心血管疾患の主要な危険因子の1つであるにもかかわらず、罹患している成人の半数以上は自分が高血圧であることに気づいていない。ウェアラブル技術には、高血圧の兆候を検出できる潜在力がある。しかし、センサーは通常、血圧を直接測定できるほど正確ではなく、測定値は従来のカフ(腕に巻いて圧力をかける帯)式血圧測定値と照合して校正する必要がある。最近の研究では、ディープラーニングが役立ちうることが示唆されている。しかし、これまでの評価は、ゴールドスタンダードとされる血圧モニタリング法を基準としておらず、確立された高血圧スクリーニング法との比較も行われていない。

Ming-Zher Pohら(Google Research〔米国〕)は、Googleのスマートウォッチで記録された信号にAIアルゴリズムを適用すると、高血圧を検出できることを示した。その精度は、従来の診察室でのカフ式血圧測定装置と同程度である。このスマートウォッチは、光プレチスモグラフィー(photoplethysmography;皮膚下の微小血管組織における血液量の変化を測定する光学技術)を行い、加速度計を用いて手首の動きを測定する。これらの測定値に参加者の身長を組み合わせ、アルゴリズムで処理することで、カフによる校正なしに高血圧の推定確率を算出する。この推定には、複数の測定値が必要となる。

このシステムは、2109人から収集した50万時間近いスマートウォッチデータを用いて学習され、さらに複数のコホートで追加の試験と学習が行われた。その後、196人の参加者で手法を検証した。スマートウォッチによる高血圧の有無の推定結果と診察室での標準的な血圧測定値を、臨床モニタリングのゴールドスタンダードである24時間自由行動下血圧測定(ABPM:ambulatory blood pressure monitoring)を基準として評価した。高血圧の検出は、スマートウォッチシステムと標準的な診察室での測定で同程度であった。スマートウォッチは、診察室でのカフ式測定よりもわずかに多くの高血圧症例を正しく特定した。感度は、それぞれ65.8%と55.3%だったが、その差は統計的に有意ではなかった。両手法の特異度は等しく、いずれも偽陽性を90%の確率で回避できた。著者らは、このシステムは従来のカフ式血圧測定に取って代わるものではないとしている。そのうえで、高血圧の兆候がある人を特定するツールとして活用しうるほか、早期の診断や介入を後押しし、心血管イベントの減少にもつながりうると述べている。

  • Article
  • Published: 05 November 2026

Di Achille, P., Cai, L., Wu, J. et al. Opportunistically Detecting Signs of Hypertension on a Consumer Smartwatch. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-11336-3
 

doi: 10.1038/s41586-026-11336-3

英語の原文

注目の論文

「注目の論文」一覧へ戻る

Nature Japanとつながろう:

advertisement
プライバシーマーク制度