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【考古学】デンマーク青銅器時代の布の素材はアマではなくイラクサだった

Scientific Reports

2012年9月28日

Archaeology: Was nettle the new black in the Bronze Age?

デンマークで2,800年前の布が出土し、当初、国内産のアマでできていると考えられたが、このほど、外国産のイラクサであることが明らかになった。この新知見は、青銅器時代のヨーロッパにおける植物繊維の織布生産では、繊維作物だけでなく、特定の野生植物も利用されていたことを示唆している。

古代ヨーロッパにおける植物繊維布、特に衣料用織布の生産は、アマ、アサなどの繊維作物による農業の発達と結びついていると一般的に考えられている。約2,800年前のものとされるLusehoj布が、Voldtofte(デンマーク)の埋葬塚から出土しているが、これまでの研究では、この布が地元産の繊維作物、おそらくアマで作られているという見方が示されていた。しかし、アマ、アサとイラクサの繊維を区別することは難しかった。

今回、B Holstたちは、偏光顕微鏡とストロンチウム同位体分析法を用いて、Lusehoj布を再分析した。その結果、この布の素材が地元産の繊維ではなく、オーストリア産のイラクサ繊維である可能性が非常に高いことが示唆された。当時のデンマークでは、アマの栽培法が知られていたため、意図的にイラクサ繊維をアマ繊維の代わりに選んでいたと考えられる。今回の研究結果は、青銅器時代のヨーロッパ北部での繊維生産が、地元での専門化されていない生産のみに基づいていたとする従来の仮説に異議を唱えている。

doi: 10.1038/srep00664

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