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気候変動:グリーンランドのプルードー・ドームは完新世の温暖期に溶けた

Nature Geoscience

2026年1月6日

Climate change: Greenland’s Prudhoe Dome melted during Holocene heat

Nature Geoscience

現在グリーンランド北西部の氷床(Greenland Ice Sheet)に付着している厚さ500メートルの氷のドームである「プルードー・ドーム(Prudhoe Dome)」は、約7,000年前に完全に溶解したことを報告する論文が、Nature Geoscience に掲載される。この発見は、グリーンランド氷床の温暖化に対して非常に敏感であることを示しており、今世紀末までに予想される同様の気温上昇が、同程度の氷量減少とそれにともなう海面上昇を引き起こす可能性を示唆している。

地球史上の温暖期にグリーンランド氷床がどのように縮小したかを理解することは、進行中の気候温暖化による変化を予測するうえで重要である。これまでの研究では、現代の氷の下に地質記録が埋もれたままであるため、氷床が内陸へ後退したメカニズムに関する知見は限定的だった。これには約1,000~5,000年前の完新世中期(mid-Holocene)も含まれ、この地域の気温は現在よりも高かった可能性がある。

Caleb Walcott-Georgeら(ニューヨーク州立大学バッファロー校、ケンタッキー大学〔米国〕)は、プルードー・ドームで500メートル以上の氷を穿孔し、氷床コア試料とともに堆積物を採取した。堆積物最上層を分析した結果、約7,100年前に最後に日光に晒されていたことが判明し、当時この地域が氷に覆われていなかったことを示唆している。堆積層直上の氷の同位体測定も、最終氷期からの氷が残存していないことを示しており、ドームが完全に融解してから再形成されたという説を裏づけている。著者らはまた、プルードー・ドームが融解した時期付近の夏季気温が現在より約3~5℃高かったと推定しており、これは気候モデルが2100年に予測する値と類似している。

この発見は、温暖化が続けば将来の氷床消失リスクが高まることを示しているが、そのような条件下でプルードー・ドームが完全に溶けるまでの期間は不明である。著者らは、過去の氷床後退をマッピングし海面上昇予測を改善するため、グリーンランド全域からより多くのサンプルを収集する必要があると結論づけている。

シュプリンガーネイチャーは、国連の持続可能な開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)、および当社のジャーナルや書籍で出版された関連情報やエビデンスの認知度を高めることに尽力しています。本プレスリリースで紹介する研究は、SDG 13(気候変動に具体的な対策を)に関連しています。詳細は、「SDGs and Springer Nature press releases」をご覧ください。

  • Article
  • Published: 05 January 2026

Walcott-George, C.K., Brown, N.D., Briner, J.P. et al. Deglaciation of the Prudhoe Dome in northwestern Greenland in response to Holocene warming. Nat. Geosci. (2026). https://doi.org/10.1038/s41561-025-01889-9

doi: 10.1038/s41561-025-01889-9

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