Nature ハイライト

量子物理学:極超音速の凝縮体

Nature 570, 7760

光波干渉法がいくつかの計測目的で非常にうまくいっている一方で、自由落下している原子雲を用いる物質波干渉計もまた、高精度測定において成功を収めている。アトムトロニック回路や物質波導波路では、重力加速度の相殺によって、長い問い合わせ時間(interrogation time)を保証する小型のプラットフォームが得られ、計測応用のための感度が向上する。しかし、そうした回路や導波路が低温原子系を長距離にわたって高速に輸送するならばその量子コヒーレンスは破壊されるのか、という重大な問題は取り組まれていないことが多い。今回W von Klitzingたちは、ボース・アインシュタイン凝縮体を、内部コヒーレンスを保ちながら極超音速で15 cmの距離にわたって輸送する、中性原子加速器リングを示している。リングの形をした導波路中で原子凝縮体の損失のない極超音速輸送が今回実証されたことから、物質波の誘導干渉法のさらなる進展が促されるであろう。

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