Nature ハイライト

量子物理学:シリコンキュービットによる論理演算のベンチマーキング

Nature 569, 7757

万能量子コンピューターの構成要素は、1量子ビット(キュービット)論理ゲートや2キュービット論理ゲートという形をとっていて、いわゆる演算の忠実度が厳しく要求されている。いくつかのハードウエアプラットフォームで、1キュービットレベルでの高い忠実度が報告されているが、標準的なリソグラフィー技術を使って作製された固体キュービットで、フォールトトレラントな計算に対してしきい値に近い忠実度を示す2キュービット演算をサポートできるのは、今のところ超伝導体技術を使ったものだけである。シリコン系の量子ドットキュービットも大規模製造に適しているので、有望な代替プラットフォームである。実際、シリコンでの2キュービットゲートの実証が成功しているが、その忠実度の厳密で包括的な評価は極めて少ない。今回、A Dzurakたちは、シリコン系のシステムにおける2キュービットゲート忠実度を初めて詳細に分析している。彼らは、忠実度が0.80〜0.89のベル状態(量子計算のためのエンタングルしたリソースの典型例)を生成したことを報告している。今回の結果は、こうした固体キュービットの長所だけでなく、シリコン技術を現在制約しているボトルネックも浮き彫りにしており、将来の研究の有益な参考になる。

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