Nature ハイライト

惑星科学:月の裏側のマントル鉱物

Nature 569, 7756

月は、鉱物の斜長石が大部分を占める表面の地殻と、その下の鉄とマグネシウムにより富んだ組成不明のマントルを特徴とする。例えば月面の裏側の南極エイトケン盆地のような大規模な衝突クレーターは、地殻を貫通していて、月のマントルの試料が表面に表れている可能性がある。初めて月の裏側に向かった探査機である、中国の嫦娥4号は最近、南極エイトケン盆地の底を探査するためフォン・カルマン・クレーターに着陸し、ローバーの玉兎2号を展開した。今回C Liたちは、玉兎2号によるスペクトル観測の結果を報告しており、これを用いて、月のマントル物質の候補である低カルシウム輝石とカンラン石が存在すると推測している。著者たちは、これらが、近傍のフィンセン衝突クレーターを生み出した事象によって盆地床の下から掘り出された後、嫦娥4号の着陸地点まで運ばれたと示唆している。

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