Nature ハイライト

材料科学:単層グラフェンが潤滑剤にならない理由

Nature 539, 7630

グラファイトなどの層状材料は、マクロスケールの金属摺動部品や高圧接触部向けの乾式潤滑剤として用いられている。しかし、単層グラフェンの潤滑剤としての性質はよく分かっていない。今回J Liたちは、浮遊グラフェン系と担持グラフェン系の両方に対して摺動するナノスケールのチップについて、原子レベルでスティック・スリップ運動を調べた。シミュレーションから、原子スケールの接触の量(真の接触面積)が時間とともに増え、表面に対するグラフェンの整合性が変化することが明らかになった。つまり、炭素原子は基板により強くピン止めされるようになる一方で、ピン止めされた原子はスティック・スリップ挙動においてより大きな同期性を示す。これは、グラフェンの柔軟性がもたらす直接的な結果である。グラフェン層を追加すると、接触グラフェン層の柔軟性が低下し、摩擦強化の抑制につながる。この効果は、グラフェン接触層に事前にしわを形成することによって調節できる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度