Letter

材料科学:グラフェンとの摩擦接触の質の経時変化

Nature 539, 7630 doi: 10.1038/nature20135

グラファイトなどの層状材料は、マクロスケールの金属摺動部品や高圧接触部向けの乾式潤滑剤として使用されている。単層グラフェンは、多層グラフェンやグラファイトより摩擦が大きいことや、摺動が続くとこの摩擦が増大することが実験で示されてきたが、その機構は依然として議論の的になっている。長年にわたり、2つの凹凸物体間の真の接触面積が界面摩擦を支配すると推測されてきた。例えば原子間力が及ぶ範囲内の原子の数によって定義される真の接触面積は、直接的な視覚化が困難であるが、接触の量を特徴付けるものである。しかし、ある1組の材料において接触の質が変化する可能性があり、この変化も界面摩擦に強い影響を及ぼし得るという新たな証拠が出ている。最近、二次元材料の摩擦挙動は、従来のバルク材料とは異なる特徴を示すことが見いだされた。これには、数層の二次元材料の場合、静止摩擦力は最初の数原子周期で次第に強くなった後、一定値に達するという上述の発見も含まれる。そうした過渡的挙動とそれに関連する定常摩擦の増大傾向は、二次元層の数が増えるとともに弱まり、二次元材料が基板に緩く付着しているときだけ観測される。層に依存するこの過渡現象は、これまでいかなるシミュレーションでも捉えられていない。今回我々は、原子論的シミュレーションを用いて、グラフェンでの層依存性摩擦と過渡的摩擦強化の実験的観測結果を再現する。原子間力の解析から、この静止摩擦の経時変化は、グラフェンのより大きな柔軟性に起因する直接的な結果として、より薄くより拘束の少ないグラフェンが構造を再調整するという自然な傾向の現れであることが明らかになった。つまり、チップの原子がより強くピン止めされ、スティック・スリップ挙動においてより大きな同期性を示す。グラフェンでは、原子スケールの接触の量(真の接触面積)が経時変化する一方で、摩擦摺動時に質(今回の場合、個々の原子の局所的ピン止め状態と全体的な整合性)も経時変化する。さらに、この効果は、事前のしわ形成によって調節できる。経時変化する接触の質は、構造的に柔軟な界面の時間依存性摩擦の説明に重要である。

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