Nature ハイライト

神経科学:Chd8変異マウスの自閉症様行動

Nature 537, 7622

クロマチンリモデリング因子をコードする遺伝子CHD8の変異は、自閉症スペクトラム障害(ASD)と強く関連している。中山敬一(九州大学)たちは今回、Chd8の変異をヘテロ接合で持つマウスがASD様の行動を示し、その脳内の遺伝子発現に小さいが全体的な変化が見られることを明らかにした。遺伝子セット濃縮解析(GSEA)から、Chd8変異マウス胚では神経発生の遅延が見られることが分かった。REST(RE-1 silencing transcription factor)の標的遺伝子の発現は、Chd8変異マウス胚の脳や、ヒトのASD患者の脳で低下していた。また、CHD8はマウス脳組織においてRESTと物理的に相互作用することが分かった。これらのデータは、CHD8のハプロ不全が、RESTの異常な活性を介して脳内の遺伝子発現に影響を及ぼしている可能性を示唆している。

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