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神経科学:CHD8のハプロ不全はマウスに自閉症様表現型をもたらす

Nature 537, 7622 doi: 10.1038/nature19357

自閉症スペクトラム障害(ASD)には、社会的相互作用やコミュニケーションの障害に加え、限定された行動や反復行動を特徴とする、さまざまな神経発達障害が含まれる。ASDには遺伝率の高い強力な遺伝的要素がある。最近、エキソーム塩基配列解析から、ASDの患者ではさまざまな遺伝子にde novo変異が多く見られることが明らかになった。その中で、クロマチンリモデリング因子をコードする遺伝子CHD8が最も変異頻度が高かった。CHD8の変異が、ASDの原因であるのかどうか、また、ASD形質をどのように確立する可能性があるのかはまだ解明されていない。今回我々は、Chd8の変異をヘテロ接合で持つマウスが、不安の増強、反復行動、社会的行動の変化など、ASD様の行動の特徴を現すことを示す。CHD8のハプロ不全は、少数の特異的遺伝子の発現に顕著な変化を引き起こすのではなく、マウス脳の遺伝子発現に小さいが全体的な変化を生じさせた。これはASD患者の脳の遺伝子発現変化に類似していた。遺伝子セット濃縮解析(GSEA)から、この変異マウス胚では神経発生の遅延が見られることが明らかになった。さらに、CHD8の発現低下は、多くのニューロン遺伝子の転写を抑制するREST(RE-1 silencing transcription factor)の異常な活性化に関連していた。RESTの活性化はASDのヒト脳でも観察され、またCHD8はマウス脳においてRESTと物理的に相互作用することが分かった。従って今回の結果は、CHD8のハプロ不全がASDの高浸透度のリスク要因であり、ASDの発症機序はおそらく神経発生の遅延から生じるという考えに一致している。

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