Nature ハイライト

微生物遺伝学:細菌の低レベルの変異率を直接測定

Nature 534, 7609

細菌の自然変異率に関する情報は進化の基本過程の研究に重要であり、また、さまざまな臨床状況で有用となる可能性がある。細菌のde novo変異はハイスループット塩基配列解読法で検出することが難しいが、今回J Jeeたちは、1つの細菌集団内の極めて希少なバリアントを誤り訂正型のハイスループット塩基配列解読法によって検出する、maximum-depth sequencing(MDS)という新しい手法について報告している。著者たちはこの手法を用いて、大腸菌(Escherichia coli)の遺伝子座特異的な変異率を測定し、ゲノム全体でそれらの変異率に少なくとも1桁の幅があることを示した。MDSのデータから、一部の種類のヌクレオチド誤取り込みが基礎変異率の104倍という高頻度で起こっているが、in vivoでは修復されており、そのため従来の方法では検出できないことが明らかになった。また、MDSを用いることで、抗生物質による変異誘発の機構もいくつか明らかになった。

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