Nature ハイライト

微生物学:腸内微生物の間に見られる協力関係

Nature 533, 7602

微生物群集は、基本的には協力的なネットワークを形成している。S Rakoff-Nahoumたちは今回、腸内微生物相の中で生じる協力的行動の仕組みについて、in vitro実験とマウスモデルを組み合わせて使って研究を行い、細菌の一種のBacteroides ovatusが酵素系を使って食物多糖類イヌリンの細胞外消化を行うことを見いだした。これはコストの掛かる反応過程だが、Bacteroides vulgatusなどの他の種にとっては食糧源が供給されることで利益となる。B. vulgatusの方はおそらく、阻害物質の解毒や、量が非常に少ない因子や増殖促進因子を分泌することなどによって、B. ovatusにお返しをしていると考えられる。これは複雑な微生物群集内で自然に進化した協力の希少な例であり、生態系を安定化させるのに重要な役割を担っていそうだ。

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