ずっと以前から、成熟すると赤血球や重要な免疫細胞になる造血細胞と血管を作る細胞には共通の起源があるのではないかと考えられてきた。今週号には、この説が正しいことを証明する証拠が報告されている。これまでは培養時の存在が明らかなだけだった、血管細胞と造血細胞の共通の前駆細胞であるヘマンジオブラスト(hemangioblast)が、マウスの初期胚で見つかったのである。G Kellerたちは今回、特定の細胞集団を蛍光タンパク質で標識し、標識された細胞から血管細胞と造血細胞が生じることを示した。そしてさらに、こうした細胞の胚全体にわたる分布状態を明らかにした。ヘマンジオブラストが、胚の原条後部に集中的に存在することをはっきりさせた今回の発見は、これから細胞系譜をたどる際に助けとなりそうだ。また、ゆくゆくは、胚細胞から血液細胞を形成させるという治療の可能性を探ったり、胚細胞に影響を与えて特定の細胞に分化させる因子を同定したりするのにも役立つかもしれない。
2004年12月2日号の Nature ハイライト
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