Nature ハイライト

感染症:腸内細菌がClostridium difficile耐性をもたらす

Nature 517, 7533

抗生物質治療によって正常な共生微生物相を構成する多くの微生物が死んでしまい、患者が腸内感染を起こしやすくなることがある。抗生物質による共生微生物相破壊が原因の感染の中で、Clostridium difficileによる大腸炎は最も一般的で、治療が難しいものの1つである。E Pamerたちは多数の抗生物質を用いてマウスの微生物相のスクリーニングを行い、C. difficile感受性と関連する微生物相変化を探索した。その結果、マウスとヒトに共通する構成微生物でC. difficile耐性に関連するものが特定された。その中の1つがClostridium scindensで、著者たちは、この菌が宿主由来の胆汁酸塩からC. difficileを阻害する代謝産物を合成することにより、宿主に耐性を付与することを示した。これらの知見から、C. difficile大腸炎の治療や予防に、二次胆汁酸の補充や生合成能力のある細菌を、糞便中の微生物相を移植するという治療法に補助的に加えるといった、全く新しい方法が見えてくる。

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