Nature ハイライト

天文学:S型星における元素合成

Nature 517, 7533

S Van Eckたちは、進化した恒星23個からなるサンプルから得た高分解能スペクトルを報告している。サンプル中の17個は「S型」星で、これは遅い中性子捕獲過程、すなわちs過程によって重い元素が合成されている赤色巨星である。残り6個は「M型」星で、これも同じような巨星だが、s過程が起こっていない。新しい分光学的なデータと専用の大気モデルを使って、著者たちはテクネチウム、ジルコニウム、ニオブについて正確な存在量を計算した。最先端の恒星進化モデルからの予想と元素合成の計算との比較から、S型星内の合成温度は約2億5000万K未満であることが分かり、s過程の中性子源が炭素13であることが裏付けられた。さらに、重い元素の合成が始まった時期は、わずか100万~300万年前であることが示唆された。

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