Nature ハイライト

物性物理学:トポロジカルHaldaneモデルの実験室実証

Nature 515, 7526

量子ホール効果からトポロジカルに保護された端状態が生じるが、この効果は外部磁場が存在する場合にのみ現れるとずっと考えられていた。しかし、Duncan Haldaneは、外部に磁場が存在しない場合でもこのエキゾチックな電子構造が生じるモデルを1988年に提案した。彼は、交替磁束があるハニカム格子では、量子ホール効果に必要な要素は物質自体に本来的に備わっていると考えたのである。その後、この概念の背後にある原理はトポロジカル絶縁体の設計に取り入れられたが、当初発表された形でのHaldaneモデルは実験的には観測されていない。今回、2つのグループによって、Haldaneモデルに関連した進展が報告されている。G JotzuたちはHaldaneモデルを初めて実現したことを明らかにし、P Roushanたちはこれを正確に測定する方法を示した。Jotzuたちは、極低温フェルミオンを用いて、格子位置を円形変調し隣接サイト間にエネルギーオフセットを生成することで、Haldaneモデルの主要な2つの必要条件である時間反転対称性と空間反転対称性の破れを実現した。Roushanたちは、超伝導量子回路、すなわち超伝導電極の間に挟まれたジョセフソン接合を使って、相互作用のない形の単一キュービットのHaldaneモデルを実現し、「gmon」結合アーキテクチャーと呼ばれる新しい実験構成を通して相互作用する2キュービットモデルを実現した。こうした実験構成をとったことで、全てのトポロジカル構造が共通して持つ特徴であるベリー曲率の測定によって、この2つのモデルの特性を評価できるようになった。

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