Nature ハイライト 医学:遺伝子組換え原虫由来のマラリアワクチン 2005年1月13日 Nature 433, 7022 効果的なマラリアワクチンの大量生産が将来可能になるかもしれない。マラリアによる死者は毎年100万人を超えており、特に子供が多く、サハラ砂漠以南のアフリカで深刻である。世界中では3億〜5億もの人がマラリアに罹患している。急性のマラリアでは発作が起こり、マラリア原虫は従来の治療法や予防薬に対する耐性がどんどん強くなっている。感染した雌のハマダラカAnophelesに刺されると、マラリア原虫Plasmodiumが体内に入って肝細胞に感染する。今回A-K Muellerたちは、逆遺伝学手法を用いて原虫のuis3遺伝子を除去し、原虫を弱毒化した。この遺伝子は、原虫が生活環の次の段階へと進んで、最終的にマラリアを発症させるのに必要とされる。弱毒化したマラリア原虫を注射したマウスは、正常な感染力をもつマラリア原虫に対する免疫を獲得した。効果的なヒトワクチンへの道が開けそうだ。 2005年1月13日号の Nature ハイライト 化石:恐竜を餌食にした、たくましい哺乳類 宇宙:世界と世界が衝突する時 古気候:気温寒冷にして風激しく浪高し 遺伝:菌根菌からわかる「変化は人生の薬味」 地球:マグマにより弱くなったテクトニック・プレートの分裂 医学:遺伝子組換え原虫由来のマラリアワクチン : 目次へ戻る