Nature ハイライト

医学:骨成長を回復させるスタチンの効果

Nature 513, 7519

小人症などヒトの骨系統疾患の最も一般的な原因のいくつかは、繊維芽細胞増殖因子受容体3型遺伝子(FGFR3)の機能獲得性変異の結果によるものである。今回、妻木範行(京都大学ほか)たちは、このような骨系統疾患のうち、致死性骨異形成症I型(TD1)と軟骨無形成症(ACH)の患者に由来する繊維芽細胞を再プログラム化して、誘導多能性幹細胞(iPSC)を作製した。TD1 iPSCを軟骨細胞に分化させると、異常な軟骨の形成が引き起こされた。軟骨細胞に分化させたTD1 iPSCを異常な軟骨を形成する表現型から救済できる分子をスクリーニングしたところ、スタチンが最も有効な分子であることが分かった。スタチンは、通常、血中コレステロールレベルを低下させるのに用いられる薬剤だが、軟骨細胞に対する同化作用を持つことが報告されていたため、候補分子に含まれていた。さらに、ACHのマウスモデルにスタチンを投与すると、骨成長が顕著に回復した。これらの知見から、スタチンをTD1やACHの乳児・小児患者の治療薬として使える可能性が示唆された。

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