Nature ハイライト

構造生物学:グラム陰性細菌の膜構造

Nature 511, 7507

ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)由来のリポ多糖輸送タンパク質LptDとLptEの複合体についてH Dongたちが、またフレキシネル赤痢菌(Shigella flexneri)由来の同じ複合体についてはS Qiaoたちが、それぞれX線結晶構造を明らかにした。これら2編の論文では、LptD–LptE複合体が2個のタンパク質からなる独特な「プラグ&バレル」構造を持つことが報告されており、この構造から、グラム陰性菌の細胞壁を構成するリポ多糖が外膜外葉へと運ばれ、挿入される仕組みが明らかになった。この研究は、外膜生合成の詳しい仕組みを新たに明らかにしたのに加え、細菌外膜を標的とする新しい抗生物質戦略の設計に関わるデータも提供している。こうした抗生物質は、多剤耐性菌との闘いのために必要性が高まっている。

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