Nature ハイライト

合成生物学:拡張された遺伝アルファベットを用いる細菌

Nature 509, 7500

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Credit: Synthorx

遺伝暗号は単純で、4つの塩基からなるA–TとG–Cという2つの塩基対が、全ての生物で使われている。非天然型のヌクレオチドや塩基対を組み込んでこの暗号を拡張することは、合成生物学の目標だった。それが実現すれば、目的に合わせて生物を作りかえる道が開かれるからである。この目標は、in vitroでは原理証明実験により達成されたが、拡張された暗号の安定した伝播は、in vivoではこれまで実証されていなかった。今回F Romesbergたちは、外来性の藻類ヌクレオチド三リン酸輸送体を発現する大腸菌(Escherichia coli)が増殖中の培地に2種の疎水性ヌクレオチドd5SICSTPとdNaMTPを添加しても、これらのヌクレオチドがゲノムに組み込まれるらしく、修復経路によって損傷として認識されないことの証拠を示した。従って、これらの非天然型塩基対を含むDNAは複製され、細胞の増殖が大きな影響を受けることはないといえる。

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