Nature ハイライト

Cover Story:窓をアップグレードする:ナノ結晶を埋め込んだスマートなコンポジットガラスは光と熱の透過の両方を調節できる

Nature 500, 7462

異なる光透過率を持つ2種類の膜。
異なる光透過率を持つ2種類の膜。 | 拡大する

Credit: Anna Llordés, Lawrence Berkeley National Lab.

表紙に示されている窓の3つの区画はそれぞれ、新しいスマートコーティングで得られる3つの限定的な光学的状態、つまり「全ての波長を完全に透過させる、完全透明状態」、「近赤外光を選択的に遮断」、「可視光と近赤外光の両方の透過を低下させる」状態を示している。従来のガラス窓は光を取り込み、極端な熱や冷気の侵入を防ぐ。しかし、電気化学的充放電に応じて光透過率を可逆的に変化させるエレクトロクロミズム技術が進歩すれば、もっといろいろな機能を備えた窓が実現するかもしれない。D Millironたちは、ニオブ酸化物ガラスのマトリックスにスズドープ酸化インジウムナノ結晶を埋め込んだコンポジット膜を実証した。つまり、光熱費を大幅に削減できる窓の生産に一歩近づいたといえる。2.5 Vの範囲で印加電圧を変えると、帯電したナノ結晶によって近赤外光が選択的に遮断され、ナノ結晶—ガラス界面近傍で結合が再形成されると可視光が強力に調節される。実用的な「スマートウィンドウ」などのデバイスはまだ先の話だが、この溶液処理「ナノクリスタル・イン・ガラス」という手法はモジュール式であり、構造や組成を広範囲に調整できるので、今後のデバイス改良のための確実な基盤技術となろう。

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