Nature ハイライト

物理:原子間を電子が跳躍するのにかかる時間

Nature 436, 7049

電子が原子から原子に跳躍(ホッピング)するのにはどのくらいの時間がかかるのだろう。今週号に発表された研究によれば、約320アト秒(320×10-18秒)となるらしい。  W WurthたちはX線パルスを使って、電子が硫黄原子からルテニウム金属表面へ移動する様子を観察した。これは今まで観察された中で最も高速な過程の1つである。また、この実験により電子がその移動中にとる経路も明らかになった。  Wurthたちは、偏光X線を使えば異なるスピン状態にある電子を識別できると考えている。そうだとすれば、このX線が物質中を通る電子の運動にどのように影響するかも観察できるかもしれない。こうした方法での電子の動きの解明は、単一電子のスピン状態に情報を蓄積する、「スピントロニクス」として知られる将来の計算方法を開発する上で非常に重要である。また、電子跳躍は光合成など多数の生物学的過程でも重要な問題である。

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