Nature ハイライト

進化:巣穴作りの進化の遺伝学

Nature 493, 7432

巣穴から顔をのぞかせるハイイロシロアシマウス。
巣穴から顔をのぞかせるハイイロシロアシマウス。 | 拡大する

Credit: Vera Domingues/Hopi Hoekstra, Harvard University

近縁種どうしの行動の差異に関する遺伝的背景は、形態の差異の遺伝的背景ほどはよく解明されていない。ミツバチや鳥の巣、動物の巣穴など、複雑な構造物を築く動物は多いが、こうした構造物は、その動物の行動に対して自然選択がかかることで「進化」する。今回行われた研究は、こうした現象の1つを例として取り上げて、複雑な行動の進化に関する問題、つまり複雑な行動は、行動の多くの側面に影響を及ぼすような遺伝的変化が1つ、または少数起こると進化するのか、それとも、組み合わさった場合にだけ行動を複雑にするような遺伝的変化がいくつか蓄積することで進化するのかという問題に取り組んだ。H Hoekstraたちは、ハイイロシロアシマウスが掘って作る複雑な巣穴が、複数の遺伝的モジュールに支配されており、それぞれのモジュールが巣穴の大きさや形状といった側面を支配していることを明らかにした。巣穴の構造に見られるこのモジュール性は、長い年月の間に蓄積した遺伝的に決められた複数の行動の組み合わせから、複雑な行動が生じた可能性を示唆している。

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