Nature ハイライト

宇宙:エタンの塵に覆われたタイタン?

Nature 443, 7112

カッシーニ・ホイヘンス探査機が到達するまで、土星の衛星タイタンでは液体エタンの広大な海が見つかるだろうと予想されていた。太陽系誕生以来浴びていた、太陽からの紫外線照射でメタンが分解し、タイタン全体にわたって深さ1キロメートルの海ができるのに十分な量のエタンが発生したはずだと考えられていたのである。しかし海は見つからず、あったのは南極上空のエタンの雲といくつかの湖だけである。D Hunten は、液体エタンがわずかしかない理由を、エタンは低温で液滴になったのではなく、多量のスモッグ粒子の表面に凝結したのだろうとして説明している。スモッグとエタンが結合して塵(ダスト)状になったこの「スマスト」が、タイタン表面に数キロメートルの厚さで堆積しているのかもしれない。

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