Nature ハイライト

工学:泡の出ない沸騰

Nature 489, 7415

熱せられた鋼球が水中で冷却されるようす。鋼球が高温のときは蒸気膜に覆われている(左)が、温度が下がると蒸気膜が崩壊し、核沸騰が起こる(右)。
熱せられた鋼球が水中で冷却されるようす。鋼球が高温のときは蒸気膜に覆われている(左)が、温度が下がると蒸気膜が崩壊し、核沸騰が起こる(右)。 | 拡大する

Credit: Dr. Ivan Vakarelski

梨地加工された超疎水性(超撥水性)表面はよく知られており、水をはじく性質をうまく表した命名である。I Vakarelskiたちは今回、そのような超疎水性表面を利用して、非常に異なる性質を制御できることを示している。それは、高温表面と接触した液体の沸騰状態である。著者たちは、系が「ライデンフロスト領域」を維持し、沸騰が高温表面の連続蒸気膜でのみ起こり、よく知られる「核沸騰」バブリング相が生じないよう、高温表面を設計できることを見いだしている。核沸騰の完全抑制ができれば、例えば原子力発電所など、蒸気爆発を避けるべき工業的状況において好都合である。梨地状撥水表面は、蒸発以外にも、例えば着氷や着霜などの相転移の制御や抑制に使えるかもしれない。

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