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気候:南極半島の温暖化の記録

Nature 489, 7414

ジェームズ・ロス島の氷床コア掘削キャンプ。
ジェームズ・ロス島の氷床コア掘削キャンプ。 | 拡大する

Credit: Nerilie Abram

過去20年間に南極半島で観測された氷床の劇的な崩壊は、気候変動を表す象徴的な姿となっている。それにもかかわらず、この地域における過去の気候は、これまで数世紀しかさかのぼって定量的に復元されていない。今回、南極半島の北東先端部の沖にあるジェームズ・ロス島における、重水素に基づく完新世の気温変動の長期的な記録が示されている。完新世初期の最高温期の後、急激な寒冷化が起こった約2500年前まで気温は安定していた。温暖化は約600年前に始まって、気温はしだいに上昇し、20世紀には気温の上昇速度は急速ではあるが前例のないほどではない程度になった。この気候記録は、最近の温暖化を長期的な自然変動との関連で評価し、将来の温暖化によって棚氷が南極半島に沿って南に向かって不安定化する可能性があることを示唆している。

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