Nature ハイライト

海洋:海の緑化

Nature 487, 7407

珪藻類の一種Chaetoceros atlanticus。
珪藻類の一種Chaetoceros atlanticus。 | 拡大する

Credit : Marina Montresor, SZN / Alfred Wegener Institute

鉄仮説では、鉄を含む塵が海洋の一部に供給されると、植物プランクトンの大増殖が引き起こされ、こうしたプランクトンが死んでから深海へ沈み込むことによって、吸収された炭素が大気との交換から切り離されると考えられている。この仮説についての検証実験では、鉄を加えると、栄養に富むがクロロフィルの少ない水域で、この説のとおりに植物プランクトンが大増殖することを示す明確な証拠が得られている。しかし、植物プランクトンの大増殖の行く末はまだよくわかっておらず、したがって深海へ隔離される炭素の量もはっきりしていなかった。今回、ヨーロッパ鉄肥沃化実験(EIFEX)の間の2004年に調査船ポーラーシュテルンによって集められた複数の証拠が示された。これらの証拠は、大増殖したバイオマスの少なくとも半分が1,000 mより深い所へ沈降しており、鉄散布による肥沃化の結果、炭素が深海へ輸送されたことを示唆している。

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