Nature ハイライト

細胞:DNAから「U」を閉め出す

Nature 449, 7161

ウラシル(U)はRNA中にあって、DNA中のチミンに相当する位置を占めている。もしも誤ってDNA中にウラシルが出現すると、命にかかわる変異を起こすことがある。その代表的な例は、シトシンの化学修飾によって起こる。こうした恐ろしい変異を防ぐため、細胞はウラシルDNAグリコシラーゼ(UNG)という酵素を使って、DNAからウラシルを取り除く。この酵素がDNAを監視して紛れ込んだウラシルを見つける詳しい仕組みが、今回明らかになった。DNAらせんは静止した分子ではなく、塩基対が「呼吸」しているように、短時間分離しては再びくっつくことを繰り返している。ウラシル塩基が外れてらせんから飛び出したときに、ウラシルDNAグリコシラーゼはこれを捕まえて取り除く。チミンは、ウラシルとはメチル基1個が異なるだけなので警戒中の酵素にウラシルと同じように捕まるが、酵素の活性部位にそれほどぴったり合わないため、釈放され、DNA分子中に戻って本来の役割を果たすのである。

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