Nature ハイライト

気候:暖水域の役割

Nature 449, 7161

西部太平洋暖水域、つまり西部熱帯太平洋にある暖水領域上での大気の対流は、温帯への熱と水蒸気の主要な供給源である。したがって、この過程は過去の全球規模の気候変化に重要な役割を果たしてきた可能性があるが、これについてはまだよくわかっていない。それは、年代がはっきり特定された解像度の高い気候記録が、暖水域からは得られていないためである。しかし今回、ボルネオ北部の3つの洞窟の石筍から酸素同位体記録という形で、数千年の時間スケールでこの熱帯太平洋の水文学的変化を表す、欠けていた過去27,000年間にわたるデータが得られた。この記録は、熱帯太平洋の水循環が、外部放射強制力だけでなく、南北両半球高緯度域の気候過程に対しても敏感であり、急激な気候変化事象に重要な役割を果たしていた可能性があることを示している。

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