Nature ハイライト

物性:超伝導体におけるスピン揺らぎ散乱

Nature 476, 7358

高転移温度銅酸化物に関しては、スピン・電荷(ストライプ)秩序や擬ギャップ相などの現象の相対的重要性が、まだ盛んに議論されている。電子ドープ材料では相図のアンダードープ域に擬ギャップ相が存在せず、電子相関が弱いことから、反強磁性スピン揺らぎが支配的な特徴であることが示唆されている。Jinたちは、電子ドープ銅酸化物La2−xCexCuO4(LCCO)の薄膜における磁気輸送の研究について報告しており、線形温度(T-線形)散乱率が電子対形成と相関していることを示している。有機超伝導体に見られる同様の挙動との比較からは、T-線形抵抗率の原因がスピン揺らぎ散乱であることが強く示唆される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度