Nature ハイライト

遺伝:植物の熱ストレスへの対処法

Nature 472, 7341

レトロトランスポゾンと呼ばれる可動性の遺伝因子はヒトゲノムの40%以上、トウモロコシゲノムの60%以上を構成しているが、この種の反復配列の転写は通常は抑制されており、ゲノム全体への無秩序な拡散が防止されている。伊藤秀臣たちは今回、シロイヌナズナへの熱ストレスがレトロエレメントONSEN(温泉)の転写を誘導することを明らかにした。ONSENの蓄積は、低分子干渉RNA(siRNA)によって抑制される。siRNAの非存在下では、新たなONSENの挿入が子孫で見られ、分化中に転位が起こった。こうした結果は、ストレスの記憶がsiRNAによって打ち消されることを意味しており、環境ストレスに直面する植物で世代を越えてレトロ転位が起こるのを防ぐ方法を示している。

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