Nature ハイライト

物理:LCLSの最初の大当たり

Nature 466, 7302

世界初のX線自由電子レーザー、SLAC国立加速器研究所(米国カリフォルニア州メンロパーク)の線型加速器コヒーレント光源(LCLS)が、昨年から稼動し始めた。これによって、生体分子のような複雑なナノサイズの対象をとらえる単一ショット撮像への期待など、原子レベルの研究に新しい時代が開かれた。LCLSで行われた最初の実験の1つの結果が今回報告された。この新しい施設は、波長1.5 nm以下の高強度X線の超短(フェムト秒)パルスを発生する。この実験では、このような放射に対する自由ネオン原子の電子応答が調べられた。単一X線パルスにより、原子はその10個の電子すべてを逐次放出して、完全にはぎ取られたネオン、すなわちX線に対して透明な「中空原子」が発生した。著者たちは、電子はぎ取りの観測結果とその基礎となる機構を簡単なモデルを使って説明している。これは、X線ともっと複雑な系との相互作用をさらに研究するには幸先よい結果である。

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