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進化:古代の南半球にいた「哺乳類」

Nature 466, 7307

古代の南半球にいた「哺乳類」
古代の南半球にいた「哺乳類」 | 拡大する

Credit: Mark Witton, University of Portsmouth

白亜紀(1億4,400万〜6,500万年前)の全動物相の中で世間の関心を最も集めているのは恐竜で、大きく水をあけられてそれに続くのが哺乳類である。それよりさらに認知度は劣るものの、当時の南半球のゴンドワナ大陸に存在したワニ類には、著明な適応放散が生じていた。ノトスクス類(「南のワニ類」の意味)は、ありとあらゆる奇妙な形を進化させた。特にその歯は、まるでワニらしくない。未分化の円錐状の牙が並んでいるのではなく、哺乳類に似た噛み切る歯と押しつぶす歯に分かれている場合が多いのだ。今回、タンザニア南西部のルクワ・リフト盆地の白亜紀堆積層で発見された新種の小型ワニ類の化石から、収斂的な形態進化を示すさらなる証拠が得られた。この化石ワニ類は、咀嚼の特徴である歯冠どうしの接触が可能な歯列をもち、「哺乳類的」と見なされる歯の特徴の多くが備わっている。さらに今回の発見は、この地域の陸上動物相に小型動物を1種加えることになっただけでなく、北半球の大陸では「哺乳類の世界」となった生態学的ニッチを、ゴンドワナ大陸ではノトスクス類が占めていたことを強く示唆している。

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